中華文化総会の短編動画最新作、チャイナ服職人を紹介

中華文化総会の短編動画最新作、チャイナ服職人を紹介

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 政府が出資し、蔡英文総統が会長を務める社団法人の中華文化総会は6日、1つの道を究めた人物を取り上げて紹介する短編動画シリーズ「匠人魂」の4作目となる『玉鳳的旗袍店』を発表した。記者会見では今作品の主人公であるチャイナ服専門店「玉鳳旗袍」(台湾北部・台北市大同区迪化街)の仕立屋、陳忠信さんが招かれ、幼いころから父親について裁縫を学んだ経歴について語った。

 陳忠信さんは1952年生まれ。1950~1960年代の、多くの商人で賑わった大稲埕(台湾北部・台北市大同区周辺)の移り変わりを見てきた。チャイナ服の仕立てを始めて50年以上になる。台湾のチャイナ服文化や「酒家文化(=料亭文化)」の盛衰を見てきた職人の一人でもある。近代化によってもたらされた衝撃や、既製服の普及といった変化を経験しながらも、現在に至るまで手作りにこだわり続けている。

 陳忠信さんが、両親が経営する店で手伝いを始めたのは中学生のころだった。朝早く起きられず、学校の送迎車にも間に合わないことがたびたびあったため、1年も経たずに退学。店で見習いとして働くことにした。

 裁縫の技術を会得した陳忠信さんのもとに、台湾映画の巨匠である侯孝賢(ホウ・シャオシエン)監督が手掛ける『刺客轟穏娘(邦題は『黒衣の刺客』)』で使われる中国服の制作依頼が舞い込んできた。陳忠信さんの働きによって、同映画の美術監督を務めた黄文英さんは2015年、台湾映画界最大の賞「金馬奨(ゴールデンホース・アワード)」の最優秀衣装デザイン賞を受賞した。

 大稲埕の盛衰を目の当たりにしてきた陳忠信さんは、「現在、人生の段階は何色か?」と聞かれ、「私は毎日、様々な色の生地を取り扱っています。だから現在の人生はカラフルです。どんな色も取り扱ったことがありますから」と笑って答えた。しかし、人生の色彩が「黒」だった時期もあった。それは改良式のチャイナ服が登場し、市場に多くの新たなデザインの生地が出回るようになったころ。伝統的なチャイナ服の仕立屋は大きな衝撃を受けたという。

 陳忠信さんはいまでも自分の腕を磨き続けている。そして、女性のスタイルの変化に合わせて、いつでも服を仕立て直している。そして何よりも、「安かろう悪かろう」の精神を忘れない。だから、一度価格を決めたら、その相手がたとえ侯孝賢監督であっても値切らせない。「私はただの職人ですから」と陳忠信さんは語る。

 陳忠信さんは、約1日かけて1着のチャイナ服を仕立てる。「ですが、1着として全く同じものはありません」と話す。同じデザインの服を作らないこと。それは陳忠信さんが自分に課した約束だ。現在は、弟子入りを希望する人がやって来て、自分の裁縫の技を伝承できることを望んでいる。

 短編動画シリーズ「匠人魂」の最新作『玉鳳的旗袍店』は黄鈴媛監督が手掛けた。この動画では、大稲埕が華やかだった時代のワンシーンも再現されている。

Taiwan Today:2017年11月8日

写真提供:中央社
 政府が出資し、蔡英文総統が会長を務める社団法人の中華文化総会は6日、1つの道を究めた人物を取り上げて紹介する短編動画シリーズ「匠人魂」の4作目となる『玉鳳的旗袍店』を発表した。写真は今作品の主人公、チャイナ服専門店「玉鳳旗袍」の仕立屋、陳忠信さんとその作品。